高齢者の生活、お金の観点から

介護保険は総額約10兆円の規模だそうです。利用されたサービスに支払われる対価は、1割は利用者自身が負担します。残りの9割は公費と保険料から支払われます。負担割合はその利用者の所得にもよります。

 

公費の内訳は25%が国、12.5%は県、12.5%は市町村です。残りの50%は保険料として40歳以上の方から徴収されます。

 

年齢が上がるにつれて介護認定割合が増加するということは、サービスの利用が増えて、財政における介護保険の支出も増えるということです。国としては、介護認定者数が増えようとも支出を減らしたいのです。もちろん、支出が増えれば私たちの保険料の負担が増えるのも必至です。体の機能活動にとっても、財政にとっても介護予防はなくてはならない課題でしょう。

 

こういった経済の視点から生活の目標を考えてみるのもいいのではないか。介護保険でのサービスは、利用者にとってはサービスの消費ではありますが、その支払いは税金や保険料からであり、あまり経済活動としては新たに利益が生み出されているようには思えません。ある書籍によれば、消費がまだまだ日本は少ないそうです。まあ卵とニワトリの話になってしまいますが、所得が増えるから消費が増えるのか、それとも逆なのか。いずれにしろ、経済活動としての消費が生まれなければ、日本の財政の好転化は難しいと思います。障害の分類の参加を経済活動ができると考えると、就労だけではなく消費ができることを目標にしてもいいのではないでしょうか。

 

自分の好きなものを買って食べる、子供や孫に何か贈り物をする、そういった消費をすることができれば、経済活動すなわち社会への参加としてもなんらおかしくありません。それを達成するために、外出して買い物をする、食事する、もしくはネットを利用して買い物をする環境や方法を支援することが必要かと思います。

 

本人の意思が表出できれば、思ったものを。認知症になっても、家族や友人を囲って食事やお楽しみの会合を開いても…どんな形で良いと思います。こうしたことが目標となれば、身体機能は問わない形となります。以前に挙げた生き生きとした、自分らしく、そして介護の負担を減らして、苦痛なく生活を色々とひっくるめて、高齢者の生活の目標を考えていくべきと思います。